宝篋印塔とは「宝篋印陀羅尼」(呪文)を内に収めた供養塔をいう。鎌倉中期以降各地に造立された。
塔形は基本的には方形の階段状の基壇・方形の塔身・笠・屋頂に相輪を載せ、塔身の四面に古くは梵字を刻んだ。相輪の最上部が宝珠で、江戸時代の塔にはとがったものが多く見られる。
室ノ木宝篋印塔
本塔は高さ3メートル50センチあり、本市最大級の高さを誇る。造立年代も慶安3年(1650年)で歴史的価値の高いものである。
【陰刻銘文】
慶安第三庚寅年 本行寺
妙法蓮華経 日蓮大菩薩
五月二十八日 妙行寺
奉建立石塔上総成東村
自他信心男女百五拾人逆修 敬白
所在地 : 山武市成東
指定日 : 1985年7月29日
大正寺宝篋印塔
高さ3メートル。造立年代延享2年(1745年)。他の塔に比べ基壇が大きく安定性がある。
【陰刻銘文】
延享第二乙丑歳孟冬嘉辰
摩尼珠成就院法印賢継
所在地 : 山武市本須賀
指定日 : 1985年7月29日
大正寺宝篋印塔(十九夜塔)
本塔は宝篋印塔の形状をもっているが、月待塔である。月待とは特定の月齢の夜に行う忌みごもりであるが、この塔は銘文にある通り十九夜塔である。高さ2メートル10センチ、造立年代は万治2年(1659年)。昭和55年、県教育委員会の調査によれば、本県における月待塔の初出のものとされる貴重な塔である。
【陰刻銘文】
上総国山辺庄武射郡南郷本須賀村
奉唱満十九夜念佛二世安隠之所
萬治二年己亥三月十九日 結衆七十五人敬白
所在地 : 山武市本須賀
指定日 : 1985年7月29日