本遺物は、板附地区の畑から農作業中に発見された、弥生時代後期(久ヶ原式)の坪型土器である。
器高26センチメートル、口径16.3センチメートル、胴部最大径21.4センチメートル、底径8.8センチメートルを計る。成形方法は口縁部、複合口縁、附加条痕文を施し、折返し口縁端部に棒状工具によるキザミ目が見られる。頚部は丁寧なミガキが施されている。胴部上部にはS字状の結節文2段、中位に羽条縄文(RL)が巡る。胴部中位から下部に丁寧なミガキ、煤の付着が見られる。
本遺物が検出された板附では昭和45年に板附古墳群(1号墳・2号墳)の発掘調査が行われ、墳丘下から弥生時代の竪穴式住居跡が1軒確認されている。市内では弥生時代の遺構は極めて希薄であり、竪穴住居跡及び本遺物は板附地区に弥生時代の集落の存在を証明する貴重な遺物である。
所在地 : 山武市殿台
指定日 : 1976年7月30日