ファインダー越しに、松下さんが収穫した野菜ひとつひとつを確認する表情が、微笑んでいるように見えた。何かを話しかけているのか、そんな素振りも伺える。ひょっとして、出荷を前に立派に育ってくれた野菜への感謝の気持ちを語りかけているのかもしれない。そう思うと、みんなが言っていた「変態」の一面を垣間見たようで、思わずボクも微笑んでしまった。明日にはこの野菜が、それぞれのレストランで様々な料理に生まれ変わる。「フラットリア」ではどんな料理になるのだろうか。遠く離れた二人の思いが融合し、「フラットリア」の料理が創り出される。まさに大貫シェフと松下さんのツートップじゃないか。作業を終えた松下さんが、摘みたてのブロッコリーを食べさせてくれた。それは柔らかく、噛んだ瞬間に爽やかな水分が口いっぱいに広がった。あの日の水なすにもまさるみずみずしさだ。松下さん自慢の生姜を掘り起こして、今日の収穫が終わった。松下さんは、休憩もとらずに集荷作業に取り掛かる。その横顔もなんだか嬉しそうだった。04左:サンバファームさんのオクラとツルムラサキを使ったケンサキイカの網焼き 右:サンバファームさんのトマティーヨを使ったキハダマグロのカツレツ右:「サンバファーム」の“サンバ”は産婆を意味している。生まれてきた赤ちゃんを取り上げる産婆さんのように、野菜を取り上げる気持ちが込められているサンバファームURL:www.sanbafarm.comイタリア料理店 FLATTORIA(フラットリア)東京都新宿区高田馬場1-25-30 TEL:050-3196-9539URL:www.flattoria.com
元のページ ../index.html#6