SAMMU MAGAZINE 2025 Vol.5
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トップ」と表現したのだ。キハダマグロのカツレツに添えられたトマティーヨの酸味と華やかさがそれを物語っている。ボクが「上手いこと言いますね」と返すと、大貫シェフは少し微笑みながら、2杯目のワインを注いでくれた。うにすっかり冷え込み、吐く息も白い。今朝はレストランから注文が入った25種類の野菜の収穫に、「サンバファーム」の松下さんはひとり作業に勤しむ。朝日に照らされ幻想的な朝靄の中の作業風景は、静寂に包まれた儀式のようだ。ボクが松下さんと初めて会ったのは、農家さんの集まりに参加した時だ。仲間の農家さんが口を揃えたように「松下さんは変態だ」と言って談笑されていたのが印象的だった。「変態」とは「並々ならぬこだわりの持ち主」を表した褒め言葉だ。同じ農家仲間の中でも一目置かれた存在なのが、その言葉から伝わってきた。朝露に濡れた野菜は神秘的で、一層の新鮮さを演出してくれている。黙々と作業をする松下さんも、朝露の洗礼を受けてすっかり泥まみれだ。ボクは右ページ:フラットリア/短角牛のラグソースパスタは、濃厚な味わいと水なすのみずみずしさが口いっぱいに広がる左ページ:朝霧に包まれた幻想的なサンバファームさんの畑0311月。早朝6時。夏の酷暑が嘘のよ

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