SAMMU MAGAZINE 2025 Vol.5
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『未未来来』完一さんは、都内の企業や行政と一緒に、さまざまな形で野菜の販売や提供に取り組んでいる。都内のマンションでは、完一さんの野菜が定期的に購入できるサービスをセールスポイントにしたり、保育所の食育活動に、完一さんの安心安全な野菜が使われたりしている。また、飲食店では、完一さんの野菜販売を目玉企画としたイベントを開催したり、美容関連企業が完一さんの野菜を使った新商品の開発を手がけるなど、様々な場面で〝食〟への関心が高まる中、完一さんの野菜のニーズが広がっている。そういう取り組みの一部は、「CSA(地域支援型農業)」という、農産物の前払い契約により、生産者と消費者が経営リスクを共有する制度で、新たな農業モデルとして注目されている。気候変動や自然災害の影響を受けやすい農業にとって、経営的な安定が担保できるのと同時に、生産者と消費者との信頼関係にもつながる取り組みだと完一さんは言う。その信頼関係から、災害時の食糧支援や避難場所の提供といった〝共助〟できる仕組みが築ければ、生産者と消費者の枠を超えた防災対策として、災害に強い関係に発展する。「もしもの時は、野菜が豊富な山武へ避難すればいいよ」と言う完一さんの言葉には、野菜がとり持つ縁が人と人との絆になることを望んでいるように伺える。「この山武の長閑な風景には、まだまだ可能性が眠っているんだよ」と、完一さんは熱く語ってくれた。完一さんを考えているとかいないとか……。完一さんの農業未来図は、色褪せることなく描き続けられているようだ。3074.5歳。次は「農業プロダクション」齊藤完一「たがやす倶楽部」代表山武の地で有機農業をはじめて30年。土にこだわり、独自の堆肥で畑の地力を活性する「たがやす農法」で、安心安全でおいしい野菜を作り続けている。また、環境に負荷を与える農業資材や機械の使用を極力控え、より自然に近い環境での農業に取り組んでいる。現在は、様々な企業や団体と一緒に、商品開発やイベント企画を手がけ、新たな農業モデルを提唱している。たがやす倶楽部URL:www.tagayasuclub.com

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