SAMMU MAGAZINE 2025 Vol.5
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01山武×人生物語【森さんBaby白菜】×都会での暮らしは、ストレスとの隣り合わせだった不安定な生活 対人関係 都会の雑踏好きなことをやっているのにいつも不安と苛立ちが付き纏う「これでいいのか」の問いかけにため息しか出てこない葛藤の毎日ベランダで育てる家庭菜園が心を癒してくれる小さなプチトマトが食卓に並ぶささやかな喜び「この瞬間が仕事だったらどんなにいいだろう」現実と夢の間を行ったり来たりちっぽけなプランターで健気に育つ野菜がそんな自分の背中を押してくれた農業への決心 農家への転身 そして音楽との別れプロポーズより緊張したかもしれない妻への告白驚きと反対を覚悟していたのに妻の喜ぶ姿にこれまで与えた苦労を思い知った ごめんラストライブまでの数ヶ月これまでの音楽活動で一番楽しかった数ヶ月それは転身を決めたからじゃないこれまでの努力があったからこそ味わえた最後の充実感心に響く森さんの言葉を、ボクは心に書き留めた。夏 〜Prelude今年の夏は危険なほど暑い。日中の畑仕事を控えている農家さんも多いほどだ。早朝からの作業を終えた森さんとふたり、ボクは作業小屋で少し話をした。窓の外は照りつける日差しでギラギラしているのに、森さんはどこか涼しげで、茹だるような暑さを和らげてくれる不思議な雰囲気がある。様々な経歴の人がここ山武で就農されているけれど、森さんは際立って異色といっていい。物腰の柔らかい中に、言葉ひとつひとつが歌の一節のように心に響いてくるのは、前職が音楽関係だったからなのだろうか。そんな想像をしながら、ボクは森さんの話す言葉に心を寄せた。

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