エキスパート。野菜を知り尽くした剛さんが作る野菜に、オーナー斉藤シェフのみならず、お客様もすっかり惚れ込んでいるのだ。テーブルに並んだ料理は、どれも「ソムリエファーム」の野菜が使われた逸品ばかり。焼きたてのロティサリーチキンが運ばれてくると、一気にテーブルは芳醇な香りに包まれる。ロティサリーチキンに添えられたアンチョビポテトは、剛さんの大好物だ。さて、どれから頂こうかしら……。華やかな料理を前に、目移りが止まらない。剛さんの畑は、すっかり冬の装いに姿を変えている。夏にお邪魔した時には、ビール酵母を使ったオリジナル有機堆肥の香りが畑一面に立ち込め、飲まずして酔いそうだったことを思い出した。これまで、籾殻や米糠など様々な材料を有機堆肥に利用してきた剛さんも、魚のうろこだけは分解されずに失敗に終わったらしく、工学部出身でエンジニアだった剛さんらしいエピソードだと思って、堆肥話を聞いていた。剛さんがエンジニアから農家への転身を決めた時、最初にトライしたのが「野菜ソムリエ」の資格取得だったソムリエファームさんの畑では、かぶが最盛期を迎えている11
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